部門委員会について
委員会の沿革と活動の概要
本委員会は,複合材料および関連する材料・構造の複合化・機能化・知能化に関連する諸問題を取り扱い,これを解決するため幅広い研究者,技術者の方々の参加をえて,活発な調査・研究活動を行っている.本委員会は1965年7月に「強化プラスチックス部門委員会」として設立された我が国最初の複合材料に関する学術組織であり,1997年12月に現在の名称に改称されている.すなわち,本委員会活動の歴史は我が国の複合材料研究と開発の発展を先導する足跡でもある.「複合材料」は従来の金属や高分子材料を単純に置換するものでなく,微視的な構成素材から構造までのいろんな階層での「複合化」「機能化」「知能化」が可能な新しい材料・構造の「概念」であり,その可能性は非常に広く深い.現在のフロンティアとして,スマートコンポジット,グリーンコンポジット,ナノコンポジットなどの分野での研究が展開されている.このような状況の中,本委員会の果たす役割はますます重要になると考えられる.
委員会の主な活動
定例委員会
定例委員会は,主に複合材料に関する先端的トピックスの紹介や解説,関連分野を含めた特定のテーマについて情報交換することを目的とし,委員および委員外の各専門分野で活躍されている方々による研究討論会として年4?5回開催している.定例委員会は委員会の基本的な活動の場であり,研究討論の他,運営に関してもビジネスミーティングの時間をとって忌憚のない意見交換を促進している.委員会の開催にあたっては,他の部門委員会や学協会との連携にも努めている.
日本複合材料合同会議(JCCM)の創設
シンポジウムは当委員会の最大の企画事業であり,旧称「FRPシンポジウム」として1972年より毎年3月に開催している.近年は単に「FRP」という材料の視点だけでなく,「複合」の思想や概念をもとに新たな発展が見られ,JCOM:JSMS COMPOSITESのサブタイトルを付し,2007年3月より正式名称を「JCOM」に改称した.今回,JCOMをさらに発展させて「日本を代表する複合材料の会議」とするため,日本複合材料学会が毎年5?6月に開催してきた研究発表講演会と統合し,両組織が共同で主催する「日本複合材料合同会議 (Japan Joint Conference on Composite Materials)」として新たなスタートを切ることにした.第1回は2010年3月にキャンパスプラザ京都で開催し,以後毎年3月に東京と関西地区で交互に開催する予定となっている.また,JCOM-39等の副題を付し,FRPシンポジウムからの歴史も引継いでいる.両学会の長所を融合して相乗効果を発揮し,研究活動の一層の活発化とともにより広い分野への発展を目指して,実りの多い講演会にし発展させることを切に願っている.幸いこの試みは,国内の全複合材料研究者に受け入れられ,第1回は「グリーンコンポジット」,「生体・医療材料」,「量産車用コンポジット」,「マテリアルデザイン(設計解析技術)」,「革新成形技術」,「スマートコンポジット」,「耐久性・環境劣化」,「ナノコンポジット」のOSをはじめ約175件の多数の研究発表と375名の多くの参加者を得た.活発な討論がなされるとともに,「日本を代表する会議」という当初目標が達成されたとともに,特に若手の研究者への情報発信という観点からも大きな意義のある会議になったと考える.また,これまでと同様,生体・医療材料部門委員会部門委員会との協力体制も維持した.本会議では,若手研究者の研究の活性を期待して,優秀講演賞が設けられている.来年度以降も皆様の積極的な参加を期待している.
論文賞,奨励賞,技術賞
JCCMの創設とともに,従来シンポジウム賞として設けていた論文賞,奨励賞は,内容を見直し新たに出発する予定である.また,複合材料技術の振興のため企業,団体あるいはそれに属する技術者に授与する技術賞は,従来どおり継続して設けている.
研究ワ一キング・グループ (WG) 活動
複合材料の種々の分野で特定のテーマを集中的に討論する場を提供するため,研究WGを設置している.
国際学術交流
本部門委員会では,おもにアジア地区との国際学術交流を毎年実施している.